2019年5月6日月曜日

大学医局に入らず脳外科医になるという選択肢



2018年度の専門医機構による制度改正で、脳外科医になるには殆どの場合で大学医局に属する必要が出てきました。
そんな中、「大学の派遣は嫌だ、自分の働く場所は自分で決めたい」といって大学医局に入らず脳外科医になるという選択肢を検討してみました。


1. 大学医局以外の基幹病院一覧

脳外学会に後期研修プログラム一覧があります。
 http://jns.umin.ac.jp/residents/program
この内、大学名の付かない基幹病院は以下の11施設しかありません

 総合病院国保旭中央病院脳神経外科 @千葉
 (財)田附興風会 北野病院脳神経外科 @大阪
 神戸市立医療センター中央市民病院脳神経外科 @兵庫
 倉敷中央病院脳神経外科 @岡山
 国立循環器病研究センター脳神経外科 @大阪
 総合病院聖隷浜松病院脳神経外科 @静岡
 中村記念病院脳神経外科 @北海道
 国立国際医療研究センター病院脳神経外科 @東京
 総合南東北病院脳神経外科 @福島
 横浜医療センター脳神経外科 @神奈川
 池友会福岡和白病院脳神経外科 @福岡

基幹病院は専門医機構の厳しい条件を満たしているため、どこでも専門医としては十分な経験ができるでしょう。あとはどの地方で働きたいか、による所が大きいでしょう。
東京都内は1施設のみですが、関連病院は墨東、北原、NTTと有名病院でした。


2. 大学医局以外に入るメリットとデメリット

大学医局以外に入るメリットは
・大学での多忙、薄給を免れることができる
 東京都内は働き方改革の煽りも受け労働環境は随分変わってきていますが、大学の多忙、薄給と比較すると一般的に、市中病院の方が労働環境は良いでしょう。 
・医局人事による強制的な職場移動がない
 基幹病院による所も大きいでしょうが、市中病院ではある程度の融通は効くのではないでしょうか

一方、デメリットとしては
・将来のポストが確約されない
 最もな懸念材料ですが、脳外科専門医を取って職に困るということはないでしょうし、地方の行きたくないポストが確約されても困りますよね。市中病院ではポストが確約されない分、自分の腕一本で食ってこうと野心ある先生も多い印象です。
・研究に距離がある
 博士を取りたい方は自分で探さなければならないですが、連携大学院もありますし臨床研究で博士を取っている先生もいるのは実際です
 腫瘍や最先端の治験などは確かに大学に集中するかもしれませんが、基礎を固める後期研修中に最先端に触れる機会は絶対ではないのではないでしょうか
 

3. 後期研修先に迷ったら

理想の後期研修病院なんて存在しないので、"最も優先すべきは何か"次第でしょうか。
地方を優先する人、労働環境を優先する人、給料を優先する人、地位名声を目指す人、働く仲間を優先する人など様々です。
それが固まったら、実際に見学に言って、雰囲気を確かめるのが一番でしょう。なんとなく合う、合わないは必ずあるはずです。

大学病院でも後期研修医が入ってこない病院は基幹病院から外されていくという噂もあります。大学医局の解体はゆっくりと進んでいくでしょうし、医師の働き方もどんどん変わってきています。キャリアパスの自由化の1つとして、大学医局以外で専門医を取るのも1つの選択肢ではないでしょうか