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2020年7月24日金曜日

SAH gradeⅤの予後

Long-term Functional Outcomes for World Federation of Neurosurgical Societies Grade V Aneurysmal Subarachnoid Hemorrhage after Active Treatment

Neurologia medico-chirurgica Advance Publication Date: July 16, 2020
doi: 10.2176/nmc.oa.2020-0052

WFNS gradeⅤに対する治療後の予後調査。日本の単施設後方視的研究
n=44、クリップが9割。
3年後には25%がmRS0-2になるという結果

海外ではGradeⅤは手術していないことも多いようだが、実際に25%が機能的に自立している。
75%の寝たきりを作るとも読み取れ、この手術適応は大きな倫理的・医療経済的問題を抱えている。
健康で文化的な生活とは何なのか、税金による経済的負担と人間の生命予後は天秤にかけられるのか、
答えがない中で、現場では”うまいこと”やっていく他ないのだろう
良きも悪きも背負っていくのが医師という職業なのか
なんとも難儀な仕事である

2020年7月23日木曜日

脳動脈瘤クリップ

脳動脈瘤のクリップをあまり考えたことがなかったので、ヤサーギルの脳動脈瘤クリップのパンフレットをみてみた


材質はチタンとフィノックスがある
フィノックスはやや閉鎖力が強いようだ


種類はパーマネントとテンポラリーに大きくわかれ、
テンポラリーはあくまで一時的な使用のため閉鎖力が低めに設定されている

形状としては
ストレート、曲がり、クランク、L型、T型、ジャイアント、ミニなどがあり
それぞれ有窓の形もある



クリップの選択には諸説あるが、
動脈瘤の形状と方向、ラチェットの入る角度、術者の好みなどで大きくわかれる
正解は自分で見つける他ないのだろう


2020年7月15日水曜日

Acom動脈瘤の方角とクリップのしやすさ

Anatomical triangles de ning routes to anterior communicating artery aneurysms: the junctional and precommunicating triangles and the role of dome projection

J Neurosurg 132:1517–1528, 2020

Acom動脈瘤のクリッピングで前方および下方に突出している動脈瘤はクリップしやすいという内容
当たり前といえば当たり前だが、動脈瘤の向きとそれぞれの要素を%で表しているのが役立つ
Clip / Coilの議論は尽きないわけだけれども、若手には一つの判断基準として勉強になるpaperだった
動脈瘤の方角とクリップのしやすさ

2020年7月8日水曜日

SAH後の脳室管理 -断続的/急速EVDプロトコル-

Intermittent CSF drainage and rapid EVD weaning approach after subarachnoid hemorrhage: association with fewer VP shunts and shorter length of stay

J Neurosurg 132:1583–1588, 2020

米国で流行っているというSAH後の脳室管理 -断続的/急速EVDプロトコル- をするとVPシャントが減るという研究

# 断続的/急速EVDプロトコルとは
基本ドレーンはクランプしておき、脳圧が高いとき(>20cmH2O)、水頭症の所見があるときは10cmH2Oで管理する方法
Hunt and Hessが1-2のとき、48時間でウィーニング
Hunt and Hessが3-5のとき、5日でウィーニング
ウィーニングはそのままクランプして(画像確認後)すぐ抜くようだ


明らかにシャントは減っている
脳圧が高いとspasmが起きそうな気もするが、頻度も変わらず
SAH後の管理についてはまだまだわかっていないことが多い
血腫は洗い流した方がいいとか、脳圧は下げたほうがいいとか、色々言われているにもかかわらず
それらしいエビデンスはない
脳ドレは必要がないのであれば抜去すべきだし、案外必要なのは超急性期だけなのかもしれない

2020年7月5日日曜日

脳卒中ガイドライン 追補2017年 くも膜下出血の攣縮管理のエビデンス

今更ではあるが、2017年追補版でいくつか攣縮管理のエビデンスが追加されていた

エリルとオザグレルが同等の水準として記載されているのが気になる。
エリルの有用性はレベル1での報告であるが、オザグレルはあくまでレベル2である
日本初で研究数も少なく費用もかかる。オザグレルが真に有用かはまだ議論の余地があるだろう。

また、スタチンに関しても追加で記載されていた
現在のところエビデンスは確立していないが、①安価で②副作用も少ない点で
使用する域値は低いだろう

攣縮はそもそもの機序が詳細にわかっていないため、
現在のところ集学的治療でなんとかやっていく他ないだろう

それぞれの施設基準に基づいた治療がベストとしか言わざるを得ない。

2020年6月7日日曜日

感染性脳動脈瘤のレビュー

Intracranial infectious aneurysms: a comprehensive review

Neurosurg Rev (2010) 33:37–46 DOI 10.1007/s10143-009-0233-1

IEによる感染性脳動脈瘤で治療を検討した一例があったため流し読み

疫学

・感染性心内膜炎の患者の3〜10%でおきる
・年齢の中央値は35.1歳
・HIV関連の場合、前方循環のproximalに紡錘状にできる・41.0%が嚢状で52.5%紡錘状
・57.4%がMCAにあり、17.6%がPCAの抹消にある

診断

・神経学的症状のあるIE患者はDSA(gold standard)をすべき
・CTAはDSAに匹敵しうる
・MRIは4mm程度なら識別できる

未破裂感染性動脈瘤

・手術リスクが高い場合は保存加療
・保存加療では29%で動脈瘤は消失、18.5%はサイズが減少、15%は変化せず、22%はサイズが増加、15%で追加の動脈瘤が発生
・動脈瘤が経時的に縮小せず、拡大している場合は手術適応

破裂感染性動脈瘤

・クリッピング、血管内コイル、またはいずれかによる動脈瘤のトラッピング
・心臓の手術後は抗凝固薬が導入されるため、血管内治療が好まれる傾向にある
・コイルなど異物をおくことで感染が助長したという報告はない

distalの微小動脈瘤が多いので、MarathonにED coilが多いのだろうか
通常の動脈瘤より当然リスクは高く、経過評価して増大傾向あれば手術適応といったところが妥当なところだろうか

2020年5月29日金曜日

Perimesencephalic Hemorrhageの定義

Perimesencephalic Hemorrhage: A Review of Epidemiology, Risk Factors, Presumed Cause, Clinical Course, and Outcome

Stroke. 2018;49:1363-1370.
DOI: 10.1161/ STROKEAHA.117.019843.

SAHの中でも静脈性のPerimesencephalic Hemorrhageについてのレビュー
定義を知らなかったので確認目的にと調べてみた
・ リスク因子はとくにない
・ 麻痺や水頭症は稀で、あっても一過性
・ 死亡例の報告はない
・ 経過がいいので症状が無ければ24時間後に退院しても良い(さすが米国)

日本であれば鎮静は不要だが2週間は入院してCT, MRIでくりかえし検査をしたいところ。一度は脳血管造影もみておきたい、といったところだろうか。
この定義に当てはまるのであれば、さすがに鎮静を2週間する理由はなさそうだ。

Perimesencephalic Hemorrhageの定義
Perimesencephalic Hemorrhageの定義
・ 発症72時間以内のCT
・ 血腫の中心は中脳、橋の前方で、シルビウス裂やinhemiの一部に出血が及んでもよい
・ 血腫はシルビウス裂の外側やinhemiを埋め尽くしたりしない
・ 側脳室後角や第4脳室に血腫が及ぶことがある

Perimesencephalic Hemorrhageではない症例
Perimesencephalic Hemorrhageではない症例
上段、下段ともにbasilar an. の症例
下段はシルビウス裂や側脳室後角に血腫を認める

2020年3月1日日曜日

微小な皮質くも膜下出血

Isolated Acute Nontraumatic Cortical Subarachnoid Hemorrhage
Am J Neuroradiol 31:1355–62

頭痛などでCTをとると微小なSAHを認めることがあります。
精査をしても結局出血源不明の経過観察になることがありますが、
どんな鑑別を挙げてどんな検査をするか迷うことがあります。
それをまとめたstudyです

ときどき見るこんな出血

鑑別と検査

これでもわからないことは多いですが、最低限はこれらの検査をして
経過観察がよさそうです

2020年2月28日金曜日

血豆状動脈瘤への複数ステント治療の成績


Treatment of Blood Blisterelike Aneurysms with Stent-Assisted Coiling: A Retrospective Multicenter Study
World Neurosurg. (2019) 126:e486-e491.

213例の血豆状動脈瘤に対してステント治療の成績 中国の論文
フローダイバーターが適応拡大するまではステント重ねがBetter treatmentか?


意外とステント群が多い


アンギオフォロー症例でも閉塞群が多い


フォロー期間は様々だが何より予後良好

2019年1月27日日曜日

SAH WNFS gradeⅣ、Ⅴの実際の予後は意外といい

Long-term Neurological Outcome and Quality of Life after World Federation of Neurosurgical Societies Grades IV and V Aneurysmal Subarachnoid Hemorrhage in an Interdisciplinary Treatment Concept
Neurosurgery 80:967–974, 2017

予後不良と言われるWNFS分類 gradeⅣ、Ⅴの実際の予後調査
対象は117名のaSAH、クリッピング(n = 35)またはコイリング(n = 72)を受けている。F/U 中央値は3.2年。32人が経過中に死亡。
⇒60%が生存し、その60%が機能的自立をしていることがわかった。

gradeⅣだとmRS0が17%もいる
gradeⅣ、gradeⅤは4割が死亡だが、生存すれば自立の可能性もある


退院時はほとんどがmRS4だが、数年の経過でmRSは改善している

50歳を境界に予後を規定する

日本だと①そもそも高齢発症が多い、②gradeⅤでも海外よりは長生きする ためにmRS6がもう少し少なく、mRS5が多い気ような気もする。日本の結果が気になる所
しかし、思っていたよりもずっと予後はよさそう

2017年10月14日土曜日

くも膜下出血再考


Subarachnoid Hemorrhage
N Engl J Med 2017;377:257-66.

Coilingデバイスの改善やColing後の長期成績も出てきており、2017年に入ってくも膜下出血のClinical Practiceがまとめられていた。
くも膜下出血の成因と治療。わかりやすい。

・ 非外傷性くも膜下出血の80%が動脈瘤によるものであり、米国では脳卒中の5-10%がくも膜下出血である
・ 脳動脈瘤破裂で生存した半数が長期の精神神経学的な後遺症を残し、QOLを損なう
・ 脳動脈瘤は人口全体の1-2%の人に見られ、脳動脈瘤の家族歴(特に一親等以内の)やEhlers-Danlos症候群、多発性嚢胞腎などの家族歴に影響を受ける
・ 破裂のリスクとしては高血圧、現在の喫煙、アルコール中毒、交感神経作用薬の使用、7mm以上の脳動脈瘤が知られている
・ 未破裂脳動脈瘤の治療に関しては未だに議論が残るところがある
・ 脳動脈瘤破裂は50代をピークに女性に多く、死亡率は25-50%と報告されている。
・ 10-40%の脳動脈瘤破裂の患者に破裂の2~8週前にsentinel headache 前兆痛がみられる
・ 脳動脈瘤破裂は救急外来を頭痛で受診する1%を占める
・ 症状の3日以内であればCTの感度は100%に近いが5-7日経つと50%に落ちる
・ CTで陰性であった場合の腰椎穿刺は検査前確率が低く、穿刺による出血との見分けが困難であるため必要ではないかもしれない
・ CTAは2mmほどの動脈瘤は信頼して探知できる
・ 再破裂は24時間以内に4-14%ほどである
・ あるRCTでは抗線溶薬の使用でリラプチャーは11%に対して2%まで低下したという報告があるが、総アウトカムを改善せず、DVTや脳梗塞のリスクもある
・ 痙攣は20%以内の脳動脈瘤破裂の患者に認められ、それ自体が再破裂のリスクとなるが、抗けいれん薬の予防的投与の効果はまだわかっていない
・ 開頭手術と血管内治療のRCTは2つあり、双方ともに1年時点での機能的予後は血管内治療が優るという結果に至っている。多施設共同RCTでは7年間のフォローで死亡率、痙攣リスクは血管内治療が優るという結果を出しているが、単施設RCTでは3年と6年時点での機能的予後に有意差は認めなかった
・ 頭蓋内圧亢進や血腫による巣症状を認める場合アンギオグラフィーで描出が困難な例やバイパスが必要な例は開頭手術を選ぶべきだし、40歳以下で神経学的に良好な前方循環系の動脈瘤患者では再出血リスクが低いために開頭手術を選ぶべきである
・ Vasospasmは出血後3-4日後に始まり、7-10日後をピークにし、14-21日後には終焉を迎える。Caチャネルブロッカーのニモジピンは唯一脳梗塞リスクを改善し神経学的予後を改善することが明らかとなっている
・ 脳循環血液量とヘモグロビン値の管理が遅発性脳梗塞のリスクを下げることができるが、予防的輸液負荷は薦められない
・ 経頭蓋ドブラーは広く使われているがその有用性に関しては未だに議論が残る。
・ 遅発性脳梗塞が疑われた場合は、Double”H”療法(輸液負荷、高血圧)が推奨される。主要な脳動脈のspasmが認められる場合は選択的血管内拡張療法も考慮される
・ 水頭症は15-85%に認められVPシャントや腰椎ドレナージは有効だが、腰椎ドレナージは閉塞性水頭症と脳実質内血腫に対しては禁忌である

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攣縮期間の管理プロトコールも各施設で様々であり、さらなるエビデンス蓄積で徐々に治療が変わっていくだろう。