2020年4月29日水曜日

ギリアデルの長期成績

Gliadel wafer in initial surgery for malignant glioma: long-term follow-up of a multicenter controlled trial

Acta Neurochir (Wien) (2006) 148: 269–275

少し古い文献ではありますが、ギリアデルについてのkey paperということで読んでみました。
ギリアデル、要はカルムスチン(BCNU)。摘出腔に敷き詰める形で置く円板状の薬剤。
脳腫瘍診療ガイドラインでも初発・再発膠芽腫に対して推奨グレードC1となっています。
過去に1年後の報告が出ましたが、今回は3年フォローでの結果です。

KPS60以上の片側悪性膠芽腫 240名のグローバル二重盲検RCT。
研究デザインは、手術 + ギリアデル + 放射線 vs. 手術 + placebo + 放射線。

ギリアデルの脳内留置
ギリアデルの脳内留置
https://www.info.pmda.go.jp/go/pack/4219700X1020_2_09/


ギリアデルの研究における、病理診断
最終病理診断:Glibraだけではない

ギリアデル群の方が長期生存する
ITT解析ではギリアデル群の方が長期生存する
最終診断がGBMのみに絞ったsub group解析では差なし
最終診断がGBMのみに絞ったsub group解析では差なし
・GBM単独のサブグループ解析では優位差が出ていないが、実臨床はITTの環境であるため、実際には有用性を示す結果であったと言えるでしょう。
・再手術、手術時の摘出率や全身化学療法などのバイアスによって影響を受けている可能性があります。ただし、先行研究でも一貫して有用性を示す結果であったことからギリアデルの効果自体はある、という認識でよいのでしょう。
・依然、GBMの予後は極めて厳しく化学療法を行っても数ヶ月程度の延長にしかなりませんが、将来のよりよい生存期間の延長、QOLの向上のための通り道なのでしょう。