2020年4月12日日曜日

脳出血に対する開頭術はそれほど予後を改善しない

Early surgery versus initial conservative treatment in patients with spontaneous supratentorial lobar intracerebral haematomas (STICH II): a randomised trial

Lancet 2013; 382: 397–408

広範囲脳出血に対する救命目的の開頭血腫除去術は、救命はしても寝たきりが多かったりで本当に意味のあるのか明確ではなかった

脳出血に対する早期外科的介入の是非を問うた研究
7か国の78センターで行われた国際共同RCT
割り当て後12時間以内の外科的介入 vs. 保存加療(その後の外科介入は可)の比較
約600名が登録され、メインアウトカムは6ヶ月後GOSE
結果的に保存群も80例ほどは外科加療を行なっている
結論としては有意差なし

メインアウトカムに有意差なし
脳出血に対する開頭術のRCTではアウトカムに差はなかった
今回のRCT上は有意差なし
後遺症の割合もそれほど変わりない
後遺症の割合
生存率も変わりなし
脳出血に対する開頭術のRCTの結果
生存率も変わらず
サブグループ解析でも有意差なし
脳出血に対する外科的加療はサブグループ解析でも有意差なし
サブグループ解析の結果
今回の研究結果を含めた(脳室内出血を除外した)システマティックレビューでも有意差なし
脳出血に対する開頭術のシステマティックレビューでも有意差なし
システマティックレビューでも差はなし
論文での結論としては、GCS9-12の早期外科介入で最も外科介入の効果が出るとしているが、実際に有意差が出ているわけではない
むしろGCS12程度だったら手術せず保存的にみていくだろう
開頭血腫除去はあくまで救命目的(これ自体もエビデンスは怪しいが)であって、予後改善効果は示されていない
JCS2桁に対する内視鏡下血腫除去は意識レベル改善に伴うリハビリ促進が謳われているが、実際にはまだ証明されていない
脳神経外科ではよくやっている手術ではあるものの、家族は機能予後改善目的と勘違いしやすい。十分な説明が必要だろう。