Nonsedation or Light Sedation in Critically Ill, Mechanically Ventilated Patients
N Engl J Med 2020;382:1103-11.これまで挿管患者は一時的にでも鎮静を切ることでICU滞在時間の短縮が示されて来たが、死亡率に差が出るかは明らかにされていなかった
無鎮静 vs. 日中offを伴う軽度鎮静 を比較した710人の多施設RCT
結果、90日死亡率を中心に、人工呼吸の時間、ICU滞在の長さ、入院期間に差はなし
重症対象のため、無鎮静でもRASS低い そして、鎮静群と比較してそれほど差がない |
若干鎮静群の死亡率が低いが優位差なし |
今回の研究では、群間でRASSの程度にそれほど差が出なかったことや、重症を対象にしているためにそもそもの死亡率が高かったことが研究結果に差が出なかったことに影響しているとも考えられる。
今回の研究では脳外科疾患に限っていないが、脳外科ではやはり覚醒度を見たいので、無鎮静で経過を見ている施設は多いのではないか。
むしろ軽度鎮静が必要なくらい元気な患者は"重症"といっていいのだろうか。
経口挿管だと咽頭痛があるから軽度鎮静が必要だとか、経鼻挿管だと咽頭痛がないから無鎮静がいいだとか、経鼻挿管だと誤って抜ける医療事故が起きているから経口挿管がいいだとか、色々な話が言われているが、正直どれも十分なエビデンスはない。
ただし、今回の研究によって無鎮静だからといって予後を悪くするわけではないということは言える
挿管方法は責任を持つ医師の経験に合わせて選択すれば良いのではないかと思う。