2020年3月19日木曜日

脳卒中後の嚥下障害に対してカプサイシンが有効かもしれない

Effects of capsaicin on swallowing function in stroke patients with dysphagia: A randomized controlled trial

Journal of Stroke and Cerebrovascular Diseases, Vol. 28, No. 6 (June), 2019: pp 1744 1751

脳卒中後によく誤嚥する患者がいる。
入院中の誤嚥は減らしたいし、嚥下障害は患者本人にとって非常に重要なプロブレムである。
以前、脳卒中後の患者にカプサイシンシートを投与しているのを見たことがあり効果があるのか調べてみた。

脳卒中後の嚥下障害に対してカプサイシンが有効かもしれない

中国の小規模単施設RCT
n=69でカプサイシン投与 vs. placebo群で3週間投与し比較
小規模ではあるが、一応有意差は出ている

脳卒中後の嚥下障害に対して唐辛子が有効である結果
Eating Assessment Toolでは有意差あり

EAT-10の内容
EAT-10は問診のようだ

脳卒中後の嚥下障害に対して唐辛子が有効である結果
水飲みテストの結果

誤嚥性肺炎や予後には影響しないのか

今回はRCTではあるが、アウトカム設定があまりにも弱い
嚥下が改善しても、誤嚥性肺炎や予後の改善が示せないと臨床応用はしにくい
そもそも嚥下障害のある患者の予後は極めて厳しいものであり、その中で有意差を出すのは難しいだろう
誤嚥性肺炎が減ったり、食事の楽しみを長く過ごすという意味では非常に有意義だと思う
あとは、今回短期的な使用での結果であったが、長期的な使用でも効果が出るのかも気になる

嚥下障害は終末期に誰もが抱えるBig Themeであり、チャレンジングな研究に期待されたい。