2020年3月18日水曜日

細菌性髄膜炎に対する髄液検査の感度・特異度

脳室ドレナージが入っている患者で発熱が続く患者は、

髄膜炎を来していないかを確認する目的で髄液検査をとることがある

ドレナージが入っているので、髄膜炎らしい所見である初圧はあてにならず、脳出血後なので項部硬直もあてにならない。
また、基本的になるとすれば細菌性のみで、ウイルス性などの検査前確率は極めて低いという条件だ。

明らかに髄膜炎の所見を呈しているものは抗生剤加療を開始するものとして、
出血後、術後であれば色も髄液細胞数も蛋白も微妙な値が出ることがある。
G染や特殊な髄液検査(髄液CRPなど)を提出せずに、細胞数・蛋白・糖のみでどの程度の値が決定的な所見なのか調べてみた。

細菌性髄膜炎のガイドラインにある髄液所見
細菌性髄膜炎のガイドラインにある髄液所見

細菌性髄膜炎ガイドライン内での記載

ガイドライン内にある感度・特異度の引用は以下のみであった
「髄液糖/血糖比が0.4以下の場合,感度80%・特異度98%との報告」

Cerebrospinal fluid as a diagnostic body fluid
Am J Med. 1983 Jul 28;75(1B):102-8.

髄液糖が下がっていれば、それ単独で髄膜炎として治療を開始してよいだろう。

他の予測因子

他の予測スコアはこちら

Differential Diagnosis of Acute Meningitis
An Analysis of the Predictive Value of Initial Observations
JAMA. 1989;262(19):2700-2707.

細菌感染の個々の予測因子
・髄液糖1.9mmol / L未満
・髄液/血糖比が0.23未満
・髄液蛋白が2.2g / L以上
・細胞数が2000×10^6 / L以上
・多核球が1180×10^6 / L以上

どれも厳しい条件だが、一つでも当てはまれば髄膜炎らしいものとして言っていいだろう。

髄液乳酸値の感度・特異度が極めて高いという報告があるが
それはまた別で扱うこととする。