2020年3月17日火曜日

慢性硬膜下血腫に対する五苓散のエビデンスは確立していない

The Effect of Goreisan on the Prevention of Chronic Subdural Hematoma Recurrence: Multi-Center Randomized Controlled Study

Journal of Neurotrauma VOL. 35, NO. 13
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五苓散

普段使っている五苓散のエビデンスはどの程度なんだろうかと思い、pubmedで"Goreisan" "Chronic Subdural Hematoma" "Randomized Controlled Trial"で検索した。
するとこの論文しか出てこない。

日本の単施設RCT。五苓散3包分3を12週継続し血腫体積の減少を比較
結果、有意差なし

慢性硬膜下血腫に対する五苓散のエビデンスは確立していない


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現在進行中のRCT

これだけ慣習的に使われているものだから、nが増えれば有意差が出るのではないか、とも思われる
調べたところ以下2つのRCTが進行中

漢方薬による慢性硬膜下血腫術後再発率低下の前向き臨床研究
https://rctportal.niph.go.jp/s/detail/jr?trial_id=jRCTs051180131

五苓散投与の慢性硬膜下血腫再発予防効果に関する研究
https://rctportal.niph.go.jp/s/detail/um?trial_id=UMIN000010006

しかし、どちらもn=200~300程度。
今回の研究結果を考えるとこれで有意差が出るとは到底考えがたい。

根拠なき治療はどこまで許されるのか

大規模RCTが行われない理由として行うことによる製薬会社のメリットが少ないのであろう
・確実な結果を出すためには巨額の資金を必要とする
・しかし、すでに日本では一般的に使用されており、製薬会社としてはエビデンスを出すほどのメリットがない
・万が一有意差が出なかった場合は、使用が減るなどのデメリットしかない

しかし、意味のない治療は極力避けたい
医師主導でエビデンスをどんどん出していけたら
確かな治療ができるだろう

たかが慢性硬膜下血腫、されど慢性硬膜下血腫