2020年3月16日月曜日

脳卒中予防の糖尿病薬にはピオグリタゾンがいい

Effects of Pioglitazone in Patients With Type 2 Diabetes With or Without Previous Stroke Results From PROactive (PROspective pioglitAzone Clinical Trial In macroVascular Events 04)

Stroke. 2007;38:865-873.

脳卒中ガイドラインにも書いてありますが、二次予防の糖尿病薬にはピオグリタゾンがいいということは、意外と知られていないようです。
実は1薬剤のadd onで脳卒中の予防を証明したRCTは唯一ピオグリタゾンのみ

大血管疾患の証拠がある2型糖尿病患者5238人を対象
add onをピオグリタゾン vs. placeboで比較
追跡期間は平均34.5ヶ月
脳卒中のサブ解析を行った論文

脳卒中既往のある患者の二次予防の糖尿病薬にはピオグリタゾンが再発予防になる

脳卒中既往のある患者ではピオグリタゾンは脳卒中予防効果がある
脳卒中既往のある患者ではピオグリタゾンは脳卒中予防効果がある

ピオグリタゾン投与での脳卒中再発までの期間
上段が脳卒中既往あり、下段がなし
上段では脳卒中発症までの期間は優位に延長

ピオグリタゾンの脳卒中予防効果とベースラインの変化
ピオグリタゾンは優位にHbA1cを減らす

血糖降下自体が脳卒中予防になるのに、なぜピオグリタゾンだけが有効性を証明できたのか

色々と疑問に残るstudyです。
Baselineの変化としてはピオグリタゾン群が優位にHgA1cを低下させ、良好な血糖管理となっていることが示唆されます。
しかし、それは他の糖尿病薬を扱ったRCTでも同様の結果でした。
他の糖尿病薬を扱ったRCTでは脳卒中予防を統計学的に優位に証明できませんでした。

理由としていくつかのアイディアは存在します。
例えば、ピオグリタゾンの抗炎症作用が血管の加齢を抑制し、脳卒中を予防しているという基礎研究もあります。

真偽は現時点では誰にもわかりませんが、少なくとも有効性が証明された薬ですので、
案外使われていないので使って見てもよいのではないかと思っています。