抗てんかん薬のやめどき
てんかんの診断と抗てんかん薬の開始は簡単なものの、"やめどき"の判断には毎回困る。
継続していれば全身痙攣による事故などを予防することはできるが、一方その分お金はかかり続ける。
副作用がなければ生涯内服をオススメしたいところだが、そういかない場合もある。
ガイドラインでの推奨
2010年のガイドラインでは2年を目安との記載があったが、2018年のガイドラインでは2年の文言は消えている。
てんかんガイドライン2010年 治療終結の目安 |
てんかんガイドライン2018年 治療終結の目安 |
てんかん終了における問題としては
・車の運転中の発作による事故
・水場での発作による事故
・発作による職業喪失(起きるべきではないが、現実的には起きている)
など社会的損失が大きい
また、2年以上発作の無い人を対象にしたRCTではAEDを終了した群では59%が寛解維持と、AEDの終了を積極的に勧めることはできない結果であった。
Randomised study of antiepileptic drug withdrawal in patients in remission. Medical Research Council Antiepileptic Drug Withdrawal Study Group.
Lancet. 1991 May 18;337(8751):1175-80.
Randomised study of antiepileptic drug withdrawal in patients in remission. Medical Research Council Antiepileptic Drug Withdrawal Study Group.
Lancet. 1991 May 18;337(8751):1175-80.
減量速度
に関しても過去にエビデンスとなる論文の報告はない
ただし、多くの研究が3-12ヶ月で漸減している
成人てんかんの薬物治療終結のガイドライン(案)
というのがネット上にあった。
ここに記載のある「提供すべき情報」が大変参考になる
抗てんかん薬断薬前に提供すべき情報 |
最終的な判断は本人・家族になる
医師の役割としては十分な情報提供を行うことであろう
具体的なてんかん薬の断薬方法
としては以下になるだろう
・2年以上寛解しており、本人が断薬の希望がある
・十分な情報提供を行う
・数ヶ月ごとに漸減する(過去の研究では3-12ヶ月で漸減している)