2020年7月9日木曜日

静脈洞血栓症に対する血管内治療の効果

Effect of Endovascular Treatment With Medical Management vs Standard Care on Severe Cerebral Venous Thrombosis The TO-ACT Randomized Clinical Trial

JAMA Neurol. doi:10.1001/jamaneurol.2020.1022

静脈洞血栓症に対する血管内治療は効果が無いという研究
TO-ACT trialは随分前に研究結果が国際学会で発表されていたが、ようやく論文になったようだ

但し、大きなlimitationがたくさんある
・n=67と小さい
 そもそも重症な静脈洞血栓症の頻度があまりにも少ない
 有意差が出るわけがない
・重症静脈洞血栓症が対象
 そもそも重症なので転帰改善の余地が少ない
・介入法がばらばら
 血栓溶解も血栓回収も血栓破砕もなんでもあり
 Interventionとして適切ではない

論理的にはヘパリンでも増悪傾向があれば、熟練した術者であれば無理ない範囲で行っても悪くはないのではないかと考えられる
なぜなら、少しでも静脈洞が開通すれば増悪を免れる可能性があるし、普段血栓回収で使っているデバイスであれば、合併症をきたす可能性は低いと考えるからだ
但し、この論文で積極的にやりにくくなったのは事実だろう
家族・本人への十分な説明と同意のもと、熟練した医師のみに許されるのではないかと考える