2017年11月14日火曜日

脳梗塞が治る時代の幕開け。Cell-based therapy


Clinical Outcomes of Transplanted Modi ed Bone Marrow–Derived Mesenchymal Stem Cells in Stroke A Phase 1/2a Study
Stroke. 2016;47:1817-1824.

脳梗塞の急性期治療では血管内治療が新たな成果を挙げていますが、適応患者は限られているのが現状です。6ヶ月をメドに機能回復はプラトーに達することが知られていますが、Cell-based therapy(いわゆる"再生医療")によってその期間を延長し機能的予後を改善することができる、という報告です。
スタンフォード✕シリコンバレーベンチャーの最強タッグが2016年に第1/2a相臨床試験を報告しています。結構すごいです。

39歳女性。神経再生の過程をMRIでフォロー。
Aが脳梗塞2年後で試験組み入れ時
Bが移植1日後、Cが7日後、Dが2ヶ月後

具体的には骨髄間葉系細胞から細胞株を抽出して培養し、血管内に注射すると脳梗塞でBBBが破綻した領域の神経再生を行うというところです。これまで多数の細胞株、投与量、タイミング、投与方法が検討されてきましたが、初めて確立したのが今回使用されたSB623という細胞のようです。

18名の特徴。脳梗塞平均22ヶ月経過している。
motor dificitがあるためmRSは3点以上



治療開始後12ヶ月まで機能回復を認めます
AがEuropean Stroke Scale、BがNIHSS、CがF-M total score DがF-M motor function total score


気になる副作用。あったとしても一過性。

但し、mRSの改善は認めなかったそうです。動かなかった手が動くなるようになる、というほどには劇的には変わらないものです。今後の発展に期待です。
日本ではニプロ✕テルモ✕札医で第Ⅲ相試験が始まり、国内での細胞培養拠点ができつつあり、数年でこうした技術が実用されることはほぼ確実でしょう。

2017年11月13日月曜日

宇宙飛行後の脳の構造的変化


Effects of Spaceflight on Astronaut Brain Structure as Indicated on MRI 
N Engl J Med 2017;377:1746-53.

約35人の宇宙飛行士の脳構造的変化をフライト前後で比較したNASAのstudy。短期と長期フライトでの比較も行い、中心溝の狭小化、脳の上方への移動、頭頂部の髄液量の減少を認めた。


A, Bが長期フライト前後の比較。*が一次運動野。脳溝の狭小化が目立ちます。
この症例は視神経乳頭浮腫、頭蓋内圧亢進症状も呈したそうです。
C, Dは短期フライト前後の比較。狭小化は目立ちません。

宇宙飛行士は意外にも50代に近い。

脳構造的変化はあくまで一時的変化に留まるように思えますが、脳機能的変化と共に検証されていくと重力が脳に与える影響が分かってくるかもしれませんね。

完全埋込み型ブレインコンピューターデバイス


Fully Implanted Brain–Computer Interface in a Locked-In Patient with ALS
N Engl J Med 2016; 375:2060-2066

ついにマトリックス、攻殻機動隊の時代のようなフューチャーライクなstudyです
オランダのDr.が行ったLock in syndromeに至った58歳のALS患者への新規デバイス埋め込み。デバイスはメドトロです。



運動野に硬膜下電極を設置して、左胸部に埋め込むことで完全埋込み型のデバイスとしています。手を動かそうとするとコンピュータを操作でき、28週後には患者は操作に慣れたようです。
ALS患者にはeye-trackingデバイスが有名ですが、運動野を筆頭に他の領域でのブレインマシーンインタフェースが出来てくると可能性が広がってきますね。

2017年11月12日日曜日

解剖アプリ

ヒューマン・アナトミー・アトラス2018エディション
3000円→120円になっています
動画を見て頂ければわかりますが、結構高性能です。結構細かいところまで解剖名称が付いているので視覚的な勉強にかなり有用です。
Netterよりもこういうappの方が分かりやすいですね。持ち運びもできますし。