2019年1月27日日曜日

SAH WNFS gradeⅣ、Ⅴの実際の予後は意外といい

Long-term Neurological Outcome and Quality of Life after World Federation of Neurosurgical Societies Grades IV and V Aneurysmal Subarachnoid Hemorrhage in an Interdisciplinary Treatment Concept
Neurosurgery 80:967–974, 2017

予後不良と言われるWNFS分類 gradeⅣ、Ⅴの実際の予後調査
対象は117名のaSAH、クリッピング(n = 35)またはコイリング(n = 72)を受けている。F/U 中央値は3.2年。32人が経過中に死亡。
⇒60%が生存し、その60%が機能的自立をしていることがわかった。

gradeⅣだとmRS0が17%もいる
gradeⅣ、gradeⅤは4割が死亡だが、生存すれば自立の可能性もある


退院時はほとんどがmRS4だが、数年の経過でmRSは改善している

50歳を境界に予後を規定する

日本だと①そもそも高齢発症が多い、②gradeⅤでも海外よりは長生きする ためにmRS6がもう少し少なく、mRS5が多い気ような気もする。日本の結果が気になる所
しかし、思っていたよりもずっと予後はよさそう

脳出血の血腫増大リスク

Absolute risk and predictors of the growth of acute spontaneous intracerebral haemorrhage: a systematic review and meta-analysis of individual patient data
Lancet Neurol 2018; 17: 885–94

過去に行われた研究の中で、5435人の個別データを再解析したもの

6cc以上の血腫増大を起こす予想モデル
大体3時間経過、25cc以下だと増大しない事が多い

抗凝固薬の内服有無にかかわらず抗血小板薬の内服は血腫増大の因子にはなりにくい
しかし、なぜ?

CT spot signも加えた多変量解析
こちらでも抗血小板薬の内服は血腫増大のリスク因子としては証明されない


以下条件だと増大のリスク
・発症から3時間以下
・25cc以上
・抗凝固薬の内服
・CT spot sign 陽性
⇒日本はCTへのアクセスが容易なので、実臨床ではほとんどの症例でフォローCTをとってるのでそれほど意味はない可能性あり。しかし、抗血小板薬が増大リスクにならないのは不思議。

脊髄動静脈奇形

Spinal vascular malformations: treatment strategies and outcome
Neurosurg Rev (2017) 40:15–28

脊髄動静脈奇形 は分類は様々なものが存在し、国際的にも未だ統一されていない
太田富雄(2016).脳神経外科学 改訂12版 金芳堂

–髄内動静脈奇形 intramedullary AVM 
–脊髄辺縁部動静脈瘻 perimedullary AVF 
–脊髄硬膜動静脈瘻 dural AVF


日本で臨床的に用いられている分類 
治療
近年はOnyxによる治療が増加しており、安全性の報告もされつつある
いずれにせよ、早期治療が何より重要