2020年3月14日土曜日

脳出血に対するトランサミンは有用かもしれない

Tranexamic acid for hyperacute primary IntraCerebral Haemorrhage (TICH-2): an international randomised, placebo-controlled, phase 3 superiority trial

Lancet 2018; 391: 2107–15

トランサミンの効果を検証した多施設共同RCT
発症8時間以内の脳出血に対してTXA1g+8時時間後に1g とplacebo群で比較

脳出血に対するトランサミンの効果
トランサミンで予後かわらず
脳出血に対するトランサミンの効果
サブグループ解析では、全体としては優位傾向にはあるが・・・

トランサミンで予後かわらず

結果として予後に影響するほどではなかった
サブグループ解析では血圧<170mmHg群でのみ優位差がついたが
トランサミンの効果と説明できる項目とは考えにくい
効果は優位傾向に止まり、科学的なエビデンスとしては弱いとしか言わざるを得ない
ただし、TXAは慣習的にどこでも使われているし、合併症がなければ多少の効果を狙っての使用は妥当とも考えられる

気になったのは投与方法で、
メインへの混注している病院が多い中、1g volus+8h後再投与のレジメンのどちらがいいのか。
また、アドナも同様に止血効果はないのかなどもきになるところ

案外身の回りの当たり前でもエビデンスの蓄積は少ない
それは、統計の進歩によりエビデンスの証明に莫大な予算を必要とし、
その予算に見合うだけの価値が研究になければ慣習的な使用で製薬会社は困らない
という問題もあるのかもしれない。