2020年4月10日金曜日

脳梗塞に対する神経保護薬は意味なさそう

Efficacy and safety of nerinetide for the treatment of acute ischaemic stroke (ESCAPE-NA1): a multicentre, double-blind, randomised controlled trial

Lancet 2020; 395: 878–87

日本では脳梗塞に対する神経保護薬としてエダラボンが使用できるが、海外では使用されていない。新薬として注目されていたNerinetideの大規模RCTで効果が示されなかったという内容

8カ国48施設の多施設共同RCT
対象は発症12時間以内の主幹動脈閉塞
約1100人が割り当てされ、90日時点の0–2mRSに有意差なし(aRR 1.04、95%CI 0.96– 1.14; p = 0.35)

脳梗塞に対する神経保護薬によって90日後mRSは改善しない
main outcome 予後に有意差なし
患者割り振りとbackgroundは割愛
脳梗塞に対する神経保護薬によるサブグループ解析の結果
サブグループ解析でも目立った差はなし
サブグループでも目立った結果はなく、
論理的に説明できる結果もなし
脳梗塞に対する神経保護薬の副作用は少ない
もちろん副作用も少ない
効果もないし悪さもしないという結果

nerinetideはエダラボンと似た神経保護薬。
エダラボンはnが少ないRCTもどきでの結果でガイドラインに乗っているが実際の効果は検証されていない。
nerinetideで効果がないとすると、エダラボンも効果はないのだろう。

とはいえこれまで使っていたエダラボンをガイドラインから消すことは
これまでの診療が間違っていたことを意味するし、
それは誰のためにもならない(患者に悪さをするわけではなく、病院や日本企業の利益にはなる)
悲しいことに、このままガイドラインは変わっていくことはないのだろう・・・