2020年11月23日月曜日

体内水分量の評価 SSV(stroke volume variation)

入院患者のSeptic shockは避けられない。

特に術後重症管理やSAHの攣縮管理中は多数のV-line/CV, A-line, Foleyなどdeviceが入りがち。

Septicになったときに、"今、体内水分量が足りているか"にまだ自信がない。

体内水分量の単一指標による評価であるべくもなく、複合的要因による総合的判断といったところだが、それでもぱっと見てわかる指標は欲しい。

Septic shockごときで循内に評価を依頼するほどでもなく、自前で自身を持ちたいということで以前上司が使ってたSSVをまとめておく

一般的な輸液反応性の指標は以下の図の通り

自分でできるのは心エコー、IVC評価程度。といってもわざわざエコーを持ち出すのも面倒だったりするし、心エコーもだいたいしかわからない。

CVPはevidenceがないというし、足上げ試験もなにも到着した頃には足上がってることが多く、血圧が低い状態で一旦下げもしにくい。

状況にもよるが入院中でまともに管理していれば脱水であるわけもなく、500-1000mLほど入れれば体内水分量は足りるはずである

http://www.marianna-u.ac.jp/dbps_data/_material_/ikyoku/20160712Lee.pdf

SSV(stroke volume variation)は正確に言えばFloTrac®️で出されるパラメータであるが、A-lineをみて呼吸性変動の有無で評価できる
ざっくり呼吸性変動が有れば不足、なければ十分といったところ
不足しているとレスピのPEEPで心拍出量に呼吸性変化が出るであろうというという意味合いである

https://www.edwards.com/jp/professionals/products/flotrac

あくまで参考にしかならないが、手軽にアタリをつけるには十分なTipsであろう

一応SSVのevidenceもでている Crit Care Med 2009; 37:2642–2647

一方でSSVは以下の3条件が前提条件とのこと

・不整脈がない

・レスピ下かつ自発呼吸消失

・1回換気量が保たれている

2020年11月15日日曜日

タンデム病変に急性期CASを行うべきか

Tandem Carotid Lesions in Acute Ischemic Stroke: Mechanisms, Therapeutic Challenges, and Future Directions

AJNR 2020

http://www.ajnr.org/content/ajnr/41/7/1142.full.pdf

頚部と頭蓋内に閉塞があった場合に、どちらを再開通させるかはまだ議論があるところではあるが(個人的にはcross flowの可能性を考えて頭蓋内の再開通を優先させるべきだと思う)、

頚部の高度狭窄に対して急性期にCASを行うか否かは議論が別れるところ。

評価の指標となる論文があったので掲載


評価項目としては

・塞栓源

・梗塞巣

・頭蓋内の再開通の有無

・cross flowの有無

・再閉塞の有無

・tPAの使用の有無

・出血性合併症のリスク

・長期抗凝固薬の適応

といったところ

結局再閉塞して急性期におかざるを得ないことが多いが、もし狭窄に止まるようであれば、バルーンで広げて待機的にCASが最も望ましいだろう

脳室内腫瘍の鑑別

年齢・性別、脳室内の部位にもよる。

脳実質腫瘍が脳室内に大きく顔を出している場合もある。

一般的なところは以下

・髄膜種

・GBM、転移性脳腫瘍、上衣腫

・中枢性神経細胞腫,毛様細胞性星細胞腫,脈絡叢乳頭腫,海綿状血管腫

ELANAデバイス 脳血管の自動吻合

こういうのの臨床試験が進んでいるようです。

バイパスすればええやん。って思うけども、機械化と標準化された方が今後の医療には良いでしょうし、技術的にはまだ先駆けなんだろうけど、いずれは普及しそうだなと


VPシャント後の腹腔鏡手術

 VPShunt後の患者が胆嚢炎などで腹腔鏡手術をして良いか外科から相談があることがある

基本的に逆流防止弁がついてはいるものの、気腹による腹腔内圧上昇に伴う逆流で髄膜炎を来さないか心配ーということである。

確定的なガイドラインはないものの、個別の症例報告・in vivoの検討は行われており、

10mmHgまでの気腹であれば逆流がない可能性が高い

ということになっている

腹腔内の汚染が疑われる場合は、シャントチューブの一時的なクランプもしくは抜去とspinal drainage/ventricular drainageが必要だろう

シャント増設からの期間、腹腔内汚染の程度、開腹術のリスクなどをポイントに個別症例で検討する必要があるだろう


参考

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjsa/78/7/78_1574/_pdf/-char/ja

頭蓋内動脈ステント(脳動脈瘤治療用 Flow Diverter)適正使用指針 第 3 版

いつの間にか更新されていた

http://jsnet.website/contents/%93K%90%B3%8Eg%97p%8Ew%90j/FD%93K%90%B3%8Eg%97p%8Ew%90j%20FIN3.pdf


基本的には適応拡大が内容

FREDに関しては5mm以上の近位主幹動脈全てに適応拡大


実際の治療を見たことないので何とも言えませんが、
ステント置くだけなら標準化しやすくて未破裂には非常によい治療だと思います。



全脳照射時の放射線耳下腺炎

titleの現象を経験したので備忘しておく
全脳照射後すぐに発熱したために術後ということもあり髄液含めて各種培養をとって大変だった
翌日には耳下腺腫脹がはっきりしてきて上記診断になった
自然軽快して頻度も少ないためかこれといった論文も見当たらなかった。

・全脳照射時に角度によっては耳下腺が照射野に入ることふぁある
・最初の数回の照射で両側耳下腺の腫脹・発熱・炎症高値をきたすことがある
・発熱や炎症高値があっても、全脳照射は継続可能である
・遅発性に唾液が減少する場合があり、耳鼻科に相談して投薬加療を行っていく

Protégé RX/SpiderFX実施基準教育プログラム

Protégé RXとSpiderFXを使用する際は、実施基準教育プログラムをうけることになっているらしい

http://www.prospa-net.jp/login.php

ログイン後の画面

スライドと10問のクイズ、動画視聴を行って、
実地のハンズオントレーニングをすれば合格らしい

スライドは116枚あり、非常に詳しく書いてある。
血管内専門医の勉強にはよさそう

てんかんの新分類 -ILAE分類-

てんかん学会に国際てんかん学会の論文の和訳が掲載されている
 https://square.umin.ac.jp/jes/images/jes-image/tenkanbunrui2017.pdf

恐るべくことに2017年に出版されているが、日本ではまだ"部分発作/全般発作"が使用されているのではないか


治療が何か変わるわけでもなく、複雑化して膾炙しにくいのではないか

専門医試験には出てもおかしくないので、知っておいて損はなさそう