2018年6月25日月曜日

新型t-PA アルテプラーゼの効果

Tenecteplase versus Alteplase before Thrombectomy for Ischemic Stroke

新型t-PAのテネクテプラーゼ vs 従来品のn=200のRCT
main outcomeは虚血領域の50%以上の再灌流で非劣勢かつ有意が示された
また secondary outcomeとして90日の転機改善(mRS)を認めた

発症から病着までの時間がテネクテプラーゼ群の方が短い

出血リスクは変わらず、再灌流率の向上だけでなく転機改善すらする

明らかにmRSを改善する

72時間までのNIHSSは変わりない

・日本で取り組まれているt-PAをskipして血栓回収療法を行うSKIP studyを考えると、LVOにおいてt-PAの役目は終わりつつあるのではないか
・study designにおいてもOncet to doorに違いがあり、影響されている可能性は十分考えられる
・コウモリの唾液から日本で開発中のデスモプラーゼは臨床成績が振るわないし、t-PAよりかはいかに血栓回収につなげるかが患者のアウトカムに影響しそう






2018年6月17日日曜日

虫歯と脳梗塞の関係

Association between periodontitis and ischemic stroke: a systematic review and meta-analysis
Eur J Epidemiol (2017) 32:43–53

歯周病が脳梗塞に関係していることを示したシステマティックレビュー

Criteriaを満たした3つのコホート研究

Criteriaを満たした5つの症例対照研究

研究の質の評価では評価が低いものが多い

Totalで見るとRR2.88

<Comment>
・慢性炎症(糖尿病、喫煙、感染症・・・)が血管の脆弱性を誘発し、その結果として脳梗塞をきたしているのではないか、という最近の仮説を検証した一つ
・歯周病は頻度が多く介入可能な疾患の一つ、ということで少なくとも脳梗塞入院患者のアセスメントはしてもいいのではないか(歯科料金は自費ではあるが・・・)
・慢性炎症の一つ一つが解明されることで介入可能になることで治療が変わる(メトホルミン、スタチンの抗炎症作用)ことは重要であるが、慢性炎症の背景には生活環境、さらには教育水準が隠れていそうであり、最終的には健康格差への介入が脳梗塞発症予防に最も重要なのかもしれない。Howは今は見えなくとも、徐々に解明されつつある印象ではある

救急搬送時の血圧で脳卒中を鑑別する



Title: Prehospital systolic blood pressure is higher in acute stroke compared with stroke mimics
Neurology 2016;86:2146–2153

960例の脳梗塞疑いに対して救急車内での血圧と、診断の相関を見た単施設レトロスペクティブコホート研究
脳出血患者は救急車内での血圧が他の脳卒中と比較して高いということを示した


発症から初回の血圧測定まで80分近くかかっている。
国土の広さが物語っている

脳出血はどの収縮期/拡張期問わず他の脳卒中よりも血圧が高い

脳梗塞、脳出血ともに時間経過で血圧はそう変わらない

救急車内で何度も血圧を計測しても(横軸)
一貫して脳出血は血圧が高い

脳梗塞のetiology別に分けるとはっきりいって大した違いはない

Comment & Limitation
・本研究では血圧高値→救急車内での降圧開始が脳出血に効果的ではないか、と言われているが、国土の狭い日本では正直治療介入までの時間はそうかからないのではないか。脳梗塞に対する血圧低下はリスクになりかねないし、実臨床の上では微妙なアイディア
・現在の血栓回収療法の時代を考えると、血圧高値による脳梗塞の除外診断目的には一つの基準としては良いかもしれないが、結局人を集めたりする行動自体は変わらない。
・本研究ではくも膜下出血が9例しかなく除外されている。本当にStroke Centerなのか?


・LVO 主幹動脈閉塞と血圧の関係が出るとより実臨床に活かせるのでは

2018年6月16日土曜日

脳神経外科手術動画

The Neurosurgical Atlas, by Aaron Cohen-Gadal, M.D.

Journal of Neurosurgeryのホームページから飛べるサイト
脳神経外科の基本的な手術を5分で解説付きで聞けます
米国の手術はかなり荒いようで(日本が丁寧すぎるのか?)、国の違いを知るという意味でも大変勉強になります。


また、有名なロートンによる解説動画もYoutubeにありました
ざっと目を通すだけでも十分勉強になりますね