2018年7月16日月曜日

Atrial Cardiopathy

Atrial Cardiopathy and the Risk of Ischemic Stroke in the CHS (Cardiovascular Health Study)
Stroke. 2018;49:980-986.

Atrial cardiopathy 心房心筋症が脳梗塞の直接のリスクファクターとなるかを調べた大規模前向きコホート研究@アメリカ

ESUSのように塞栓性だが明らかな塞栓因子がわかっていない脳梗塞に対してAtrial Cardiopathyが新たな因子として提唱されたもの
Patientは65歳以上の人で1989年から1990年に5201人の参加者と1992年から1993年に687人の参加者で4つの州からランダムに選ばれた

exclusion criteriaは以下
・同意なし
・車椅子生活
・がんへの積極的加療中
・脳卒中既往
・Af既往

リスクファクターとしては以下が使用された
・baseline P-wave terminal force in ECG lead V1
・left atrial dimension on echocardiogram
・N terminal pro B type natriuretic peptide (NT-proBNP)
・incident Af

心電図、心エコー、採血:コホート参加時のものを使用
Afの有無は10年間毎年の調査+入院、外来でのデータ


脳梗塞の定義はフォロー期間12年間の
・神経症状+脳画像
・脳画像
3723人中12年の追跡で585人が脳梗塞を発症し、Cox比例ハザードモデルで解析した


左は除外群、真ん中は一つでもデータがある群、右は全てのデータが揃っている群
除外群は心血管リスクが高い

Model1は年齢、人種、性別で調整
Model2は年齢、人種、性別、教育レベル、肥満指数、冠状動脈性心疾患、心不全、糖尿病、収縮期血圧、抗高血圧薬治療、HDL, LDL、TGの対数、および喫煙状況で調整
Individualは単独変数、Combinedは他も含めで多変量解析した結果
PTFV, BNP, AFは有意なリスクである
cut offはPTFVは1000μV*msあがるごとに、心房径は1cm大きいごとに、BNPは倍になるごとで設定

閾値はPTFV1が4000μV* ms、女性が4.3cm、男性は左心房寸法で4.7cm、NT-proBNPでは185pg / mLで行ったものではBNPのみ有意
lacunar vs. 原因不明に分類されたものn=262では有意な結果は認めなかった

Limitation
・P波終末力は他のマーカーを含めた多変量解析でもHRが高く、独立してリスク評価を行うことができる可能性がある
・左房径と脳梗塞の関連は認められなかったが、原因はよくわかっていない
・ラクナ梗塞とそれ以外のサブタイプ間での差は認められなかったため、塞栓のリスクかどうかはあやしい
・Af検知のための長時間モニタリングは行っていない

脳梗塞発症前のAfは検知されにくい。ECGでリスク抽出ができればAfの積極的検知、脳梗塞予防介入に有用かもしれない