2019年4月7日日曜日

rt-PA治療指針 第三版

静注血栓溶解(rt-PA)療法 適正治療指針 第三版
http://www.jsts.gr.jp/img/rt-PA03.pdf


新しく出ましたが、大きな変化といえば以下の項目程度でしょうか

"発症時刻が不明な時でも、頭部 MRI 拡散強調画像の虚血性変化が FLAIR 画像で明瞭でない場合 には発症 4.5 時間以内の可能性が高い。このような症例に静注血栓溶解療法を行うことを、考慮し ても良い【C1,中】"
あとはイダルシズマブリバースの後の使用とか。

血栓回収してtPA skipのエビデンスが出てくるとこのあたりは大きく変わってくるでしょう。

2019年1月27日日曜日

SAH WNFS gradeⅣ、Ⅴの実際の予後は意外といい

Long-term Neurological Outcome and Quality of Life after World Federation of Neurosurgical Societies Grades IV and V Aneurysmal Subarachnoid Hemorrhage in an Interdisciplinary Treatment Concept
Neurosurgery 80:967–974, 2017

予後不良と言われるWNFS分類 gradeⅣ、Ⅴの実際の予後調査
対象は117名のaSAH、クリッピング(n = 35)またはコイリング(n = 72)を受けている。F/U 中央値は3.2年。32人が経過中に死亡。
⇒60%が生存し、その60%が機能的自立をしていることがわかった。

gradeⅣだとmRS0が17%もいる
gradeⅣ、gradeⅤは4割が死亡だが、生存すれば自立の可能性もある


退院時はほとんどがmRS4だが、数年の経過でmRSは改善している

50歳を境界に予後を規定する

日本だと①そもそも高齢発症が多い、②gradeⅤでも海外よりは長生きする ためにmRS6がもう少し少なく、mRS5が多い気ような気もする。日本の結果が気になる所
しかし、思っていたよりもずっと予後はよさそう

脳出血の血腫増大リスク

Absolute risk and predictors of the growth of acute spontaneous intracerebral haemorrhage: a systematic review and meta-analysis of individual patient data
Lancet Neurol 2018; 17: 885–94

過去に行われた研究の中で、5435人の個別データを再解析したもの

6cc以上の血腫増大を起こす予想モデル
大体3時間経過、25cc以下だと増大しない事が多い

抗凝固薬の内服有無にかかわらず抗血小板薬の内服は血腫増大の因子にはなりにくい
しかし、なぜ?

CT spot signも加えた多変量解析
こちらでも抗血小板薬の内服は血腫増大のリスク因子としては証明されない


以下条件だと増大のリスク
・発症から3時間以下
・25cc以上
・抗凝固薬の内服
・CT spot sign 陽性
⇒日本はCTへのアクセスが容易なので、実臨床ではほとんどの症例でフォローCTをとってるのでそれほど意味はない可能性あり。しかし、抗血小板薬が増大リスクにならないのは不思議。

脊髄動静脈奇形

Spinal vascular malformations: treatment strategies and outcome
Neurosurg Rev (2017) 40:15–28

脊髄動静脈奇形 は分類は様々なものが存在し、国際的にも未だ統一されていない
太田富雄(2016).脳神経外科学 改訂12版 金芳堂

–髄内動静脈奇形 intramedullary AVM 
–脊髄辺縁部動静脈瘻 perimedullary AVF 
–脊髄硬膜動静脈瘻 dural AVF


日本で臨床的に用いられている分類 
治療
近年はOnyxによる治療が増加しており、安全性の報告もされつつある
いずれにせよ、早期治療が何より重要

2018年11月11日日曜日

11th World Stroke Congress @Montreal, Canada 参加報告

11th World Stroke Congress @Montreal, Canada 参加報告
https://worldstrokecongress.org/2018

Evidence levelがRCT, n>1000がstandard。当たり前にdataがhigh qualified。圧倒的にnが足りない日本の病院でどう発信していくべきか考えさせられました。



❏大規模RCTのpublish前報告
・RESPECT ESUS
 ESUSに対するダビガトランvsバイアスピリン 国際RCT
 →990日時点でrecurrent stroke(脳梗塞、心筋梗塞を含む複合アウトカム)の再発予防効果は示せず。脳梗塞単体で評価しても再発予防効果は示せず
  subgroup解析で75歳以上に絞ると再発予防の有意差あり!高齢者は心房細動が多いためより心原性に絞られた可能性がある
  subgroup解析でPPI使用群のみにおいて再発予防効果が示されたが、PPIとDOACの関係は不明
  major bleedリスクは有意差なし!NAVIGATE ESUSで示されたDOACの出血リスクの高さは今回は示されず。しかしminor bleedリスクも含めると有意に高くなってしまう

・POINT trial
 脳梗塞急性期に対するDAPT vs SAPTの国際RCT secondary analysisの結果報告
 脳梗塞は減らすが、出血リスクも増やさないことがこれまでに報告され、今回は経時的変化の解析を行うことでいつまでDAPTを投与すべきかというリスクベネフィットの分岐点を探索した
 →day21まではDAPTは脳梗塞再発予防に有効だが、それ以降はSAPTと変わりない
  出血リスクは経時的に変化なくDAPTは一貫して高い
 CHANCE trial(中国での同様のRCT)でもday21まででDAPTの効果が示されており、かつ出血リスクは示されなかった。今後急性期脳梗塞に対するday21までのDAPT加療が一つの目安になるだろう

・FIND-AF trial
 強化ホルター療法(10day×3回)の3年間の追跡結果 secondary analysis
 →3年後にはAfの発見率、脳梗塞再発率は変わりなし!スマホやapple watchでAfが見つかる人が増えているようだ

・VERSE study
 aphasiaに対する早期リハ介入 vs 標準介入 国際RCT
 →改善なく意味なし

・WEAVE trial
 頭蓋内主幹動脈狭窄に対するstent(wingspan)治療のon-label連続症例検討
 SAMPRIS trial(NEJM2011)では15%が周術期に死亡し、頭蓋内狭窄へのstentはリスクが高すぎると考えられていた
 一方、①術者の経験が浅く②発症7日以内の治療が多く③不適切な抗血小板療法が問題と指摘されたいた
 今回、FDA認可のもと24施設で症候性頭蓋内狭窄ICADに対してwingspanでの加療が行われた
 →結果、術後72時間以内の死亡(+梗塞発症?)は2.6%のみ。穿通枝閉塞による新規脳梗塞は0.7%のみ
  SAMPRISでは術者の頭蓋内狭窄へのstent経験症例数中央値が10程度に対して、今回は30程度
  Limitationとしては、day7以降にやったから合併症が少なかっただけかもしれず、かつ二次予防の効果に関しては今後の追跡結果を待つ必要がある
 CASSISS trial(中国での同様のRCT)の結果がまたれる

・SELECT trial
 血栓回収を行った4722人の多施設レトロスペクティブコホート
 単純CTかCTPのどちらで治療を行うかを決めたか?の比較(documentationされたものを評価)では
 単純CT-42%, CTP-56%であった。この比較でday90のmRSは差がなし!
 Good CT かつPoor CTPは全体の7% day90-good mRSは25%のみ
 Poor CTかつGood CTPは全体の10% day90-good mRSは50%であった
 →実際にはCT, CTPのどちらも見て判断してるし多くのバイアスが含まれているが、単純CTだけでも十分な判断材料になっているようであり、単純CT単独で血栓回収をする時代がくるかもしれない
 また、tPA施行群と施行しなかった郡の比較ではday90-mRSはtPA施行群の方が予後が良かった(p=0.05)。出血リスクは増えず、D2Pも伸ばさなかった。今後のRCTに期待される。

❏セッション
・AURORA study first autherの発表
 Time is Brainだけの時代は終わった!
 Outcome = 1/Final Infarct Volume x Regional Eloquence x Biological Age
 Final Infarct Volume = Time / Collateral Fow
 Corrateralsの評価が大事ということがAURORAで示された
 これから知られるべきこと
 ①mRSは実際の活動量を表しているとは言い難く(mRS5と6なんて一緒だ!)Utility-Weighted mRSで再評価してみると、実はEVT郡と保存郡で差がない!
 ②CTPによるEVTのNNTは2.5だが、実際はCTPが取れる施設は少ない!→SELECT trialで単純CTだけでも予後に差がないという結果が示唆されているし、Aphasia, Gazing, Neglectなどの症状はLVOと強く相関しているため、症状と単純CTだけでもEVTできる時代がくるのではないか

・4人の血管内治療医で年250件のEVTを行っているオーストラリアの施設
 飛行機、ヘリコプター、mobile stroke ambulance (救急車内にCTがあり頭部CTAも撮影できる)などの体制整備の紹介
 6-24h経過例はCTPで評価ーRAPID使用
 EVT without tPAのRCT, DIRECT safe studyを開始した!
 SKIP, SWIFTに加えて、DIRECTと中国のstudyが進行中

・multiphase CTA カナダ
 CTA +7s, +14sの3回測定
 CTAのみではタイミングがずれることがあるがそれにある程度対応できる
 特に心不全だとCTAのタイミングがずれる
 側副血行路がわかることで虚血巣も推定できる可能性がある

・telecommunication ブラジル
 日本製のアプリJOINが頻用され、telemedicineが当たり前になっている
 時間外労働がかなり問題になっている→研修医が毎日病院にいるから大丈夫と

・drip & ship vs mothership
 エビデンスはないものの、搬送に30分以上かかる場合はmothershipが多い

・RAPID
 DICOM dataから自動で3D CTAの再構成ができるようになった
 Viz LVOという別会社も同様のサービスも使われてきている

・TICH-2 study
 脳出血に対するトランサミンの効果 国際RCT phase3で予後への影響は示せず
 本研究のレジメンはローディングドーズ1g+8h後の追加1g投与

・ICHの管理
 CTAでのspot signが血腫増大のリスクになり得る
 内視鏡血腫除去の早期介入RCT (ENRICH study)が現在進行中

・アメリカ デンバーのComprehensive stroke center
 2017年EVT 中央値 D2CT10分、D2P 35分、D2R 58分
 周囲60施設へのtelemedicineでdrip&shipを指示するようになりtPA増えた
 血栓回収はNeurologist(初期対応), Neurointerventionist, Radiologist, Anesthesiologistが集まり対応、術後はNeurohospitalist, Neurointensivistが対応

・ASTER study
 ADAPT vs stent retriever単独 のRCTで予後評価の有意差なし
 COMPASS study でも有意差示せず

・SAH管理
 LUMAS2 studyでlumber drainageは直後のmRSは改善するが、6ヶ月後のmRSは改善しないことが示された
 エリルはevidencseはあるものの日本と中国のみでしか使用できない
 ミルリノンの治験が現在行われている
 CONSCIOUS1, 2study(クラゾセンタンのRCT)でspasmとDCIの関係性は否定された
 発症〜coil/clippingまでの積極的低血圧療法は施設間比較(retrospective cohort)では差がなし
 HHHのHypertentionに関しては1970sに提唱されRCT HIMARAIA trialが施行もリクルートメントがうまくいかず中止。集まった40人の解析ではどれも有意差なし(stroke 2018)

・eTICI
 JNIS 2018で発表、mTICIよりも偏りがない

・スタンフォード大学 血管内治療チーム
 HERMES study以降、EVTの適応でわかっていないこと
 ①Young age
 ②Low aspects (0-4)
 ③M2 occlusion
 ④mild stroke NIHSS<10
 これから研究していくこと
 ①IV-TNK 4.5-24h with diffuse3 selection
 ②EVT for children
 ③>24h EVT
 ④large core
 ⑤搬送中の神経保護薬の使用

・BEST trial
 脳底動脈閉塞に対する血栓回収vs保存のRCT

・ATTICUS trial
 ESUSに対するアピキサバンvs warfarinのtrial
 →開始したとのこと

・lancet, NEJMなど5大雑誌+Stroke系の雑誌のediterのセッション
 secondary outcomeが注目されすぎていること、定義が曖昧な単語”core” "window”などが氾濫していることを注意。
 editer陣に女性が10%ほどしかいないこと、途上国のメンバーがいなく今後改革が必要であると

 ・テント下脳出血に対する血腫除去の成績(unpublished data)
 現在のガイドラインは数十年前にpublishされた論文が元になっており、”3cm以上であれば手術適応”はevidence levelがかなり低い
 今回、過去5つのstudyのindividual level dataを集め、propensity score matchingを行い疑似RCTを行った。
 →3ヶ月後の死亡率は低下させるが機能予後(mRS0-3)は改善せず
  subgroup解析では0-12ccでは手術郡で死亡率増加、15cc-30ccは死亡率低下、30cc以上は死亡率低下を示せず
  実際には、血腫量の増多傾向を予測し手術に踏み切ったりするため、今回の規準がクリアカットな指標にはなり得ないが、一つの指標にはなり得る

2018年10月16日火曜日

血栓回収療法 発症後24時間以内への適応

Thrombectomy 6 to 24 Hours after Stroke with a Mismatch between Deficit and Infarct
N Engl J Med 2018; 378:11-21

血栓回収適応拡大の根拠になったDAWN trial

P: IC / MCA中枢閉塞で6-24h経過もDWI mismatchを満たす患者
(Group A: 80歳以上でNIHSS10点以上かつ梗塞巣が21mL未満
 Group B: 80歳より若く、NIHSS10点以上かつ梗塞巣が31mL未満
 Group C: 80歳より若く、NIHSS20点以上かつ梗塞巣が31-51mL以下)
 Inclusion; 18歳以上、LKW6-24h、mRS0-1
 Exclusion; 脳出血、MCA領域の1/3以上の梗塞
I: 血栓回収+標準療法
C: 標準療法
O: 90日時点のutility-weighted modified Rankin scale, mRSで0-2郡の割合
最終未発症からランダム化まで約12時間
各群間で差はなし

ベイズ推定による結果ですが、Outcomeは全て差があり
(血栓回収しているわけだから当然かもしれませんが)

mRSも改善

subgroup解析ではGroupCと目撃なしの発症では差がありません
Group Cに関しては梗塞巣も広く、他の郡と比較するとbenefitは安定しないようです

今回集めた症例の中では血栓回収による死亡リスクの増大なしも、こちらをprimaryとしたstudyではないので現状なんとも言えまません。
現実と比較すると90日死亡率が異様に高い様子ですが・・・

<Comment>
・RAPIDあってのstudy。欧米でもRAPIDの代替システムはできており、日本は取り残されている状況。今後研究目的で使用可能になるようではありますが。
・日本の臨床現場ではNIHSSと血管内治療医の画像評価で問題なくできている印象ではありますが、梗塞巣の定量的評価なしに今後の研究は進まないのではないでしょうか
・形態学的評価が進んできましたが、今後、残存高次脳機能を定量的評価を行っていくようになるのでしょうか。超高齢者に限って言えば"若さ"に明らかな差が出てきており、これからの課題でしょうか

2018年10月15日月曜日

TTF 脳腫瘍に対する電磁波治療の成績

Effect of Tumor-Treating Fields Plus Maintenance Temozolomide vs Maintenance Temozolomide Alone on Survival in Patients With Glioblastoma A Randomized Clinical Trial
JAMA. 2017 Dec 19;318(23):2306-2316.

電磁波で腫瘍を治療するオプチューンのRCT

P: グリオブラストーマ患者
I: テモゾロミド+オプチューン郡
C: テモゾロミド単独群
O: Progression-freesurvival 
(Secondary outcomeがOverall survival)

終末期に丸坊主にして電極をはるという事が一番のネック

約700人を2:1でランダム化割付

MGMT mutationも含め、baselineはほぼ同様

Progression-free survivalとOverall survival共にITT解析で有意差あり
Overall survivalの中央値16ヶ月→20ヶ月と4ヶ月の延長

年齢、MGMT mutation別に分けても有意差あり

副作用はそうはないけれども、見た目がやはり問題ではないか

<Comment>
・治療効果はあるとはいえ中央値4ヶ月の延長で見た目の問題を考慮すると広まらないのも無理はない
・一方で別のモダリティによる治療であり、今後、見た目の問題が解決していけば(より小さい電極や、摘出時に埋込み型のデバイス)日本でも使用されていく可能性は十分あるのではないか
・駄目だ駄目だと批判していると、気がついた頃にはついていけなくなってしまうので、時々キャッチアップしていきたいと思います。