2020年7月30日木曜日

「プラスグレル」の血栓性脳梗塞患者を対象とした 第3相臨床試験結果

まだ論文になっていませんが、結果は出たようです
脳梗塞を対象にしたクロピドグレル vs. プラスグレルの有効性、安全性試験

https://www.daiichisankyo.co.jp/news/detail/007167.html

クロピドグレルは日本人でnon-responder, hyper-responderが多いので、
個人差が少ないプラスグレルは有効性でも勝るという結果が出ているそうです。

VerifyNowを使わなくなる日も近いでしょう。
承認が待ち遠しいですね

2020年7月29日水曜日

経皮経管的脳血栓回収用機器 適正使用指針 第 4 版

経皮経管的脳血栓回収用機器 適正使用指針 第 4 版

が脳卒中学会誌に出てました。



はじめに、から抜粋すると
 その後も本療法に使用する新たなステントリトリーバー、血栓吸引カテーテルの承認と保険償 還が始まり、複数の医療機器を組み合わせる試みも本格化し、同時に新たな知見も加わってきた。 
 2018 年 12 月には「健康寿命の延伸等を図るための脳卒中、心臓病その他の循環器病に係る対策に関する基本法」が公布され、翌 2019 年 12 月に施行された。rt-PA 静注療法の実施施設の全 国均てん化とともに、本療法が広く適応患者に実施できるように、機械的血栓回収療法を実施す ることができる脳血管内治療専門医に準ずる経験を有する医師の基準と運用方法が明確化され た。
とあり、要は 
・デバイスの追加
・血栓回収実施医の追加
に留まっている

ガイドラインの更新をみるときに、どこが更新されたかだけが知りたいのに
どこにも具体的に書いてないのは明らかに読み手のことが考えられてないと思う
追加した行や修正した行を明らかにして欲しい。

2020年7月28日火曜日

世界最大の医師オンラインコミュニティ Sermo

Sermo


全世界80万人が登録しています
調べた限りではこのサイトが一応世界最大規模の様
m3と同様に医師間での自由な議論が売りで、
ビジネスモデルとしては、会員にアンケート調査を行って調査会社ーこれもまた世界最大級の調査会社World Oneーにデータを売っているようだ


とりあえず会員登録をすると、結構Active Userがいるようだ
アンケート調査など舞い込んできたらいいなと思いつつ、
少し様子を見てみることにする

2020年7月27日月曜日

論文用前学習済み文章要約AI

PEGASUS

https://arxiv.org/pdf/1912.08777v2.pdf

Googleの開発した論文の文章要約AIが発表されていました
Pubmed用にも微調整され、現状過去最高の精度のようです

ここにこれまでのAIの評価ランキングがあります



コードも公開されており、一応誰でも使える状態になっています
abstを読むのすら時間をくってしまうので、3行で要約してもらえると
情報収集の効率化に貢献できそうです

2020年7月26日日曜日

BSNET 2019 書籍発売

BSNET 2019年の本が発売されました。
今回は"セッティング"こと術前準備がテーマで幅広く扱われていました。
すぐ使えるTipsも多く、血管内治療に関わる医師必見です。
Amazon

2020年7月25日土曜日

pubmedでのインパクトファクターの表示

Google Chromeの拡張機能でPubmed上でImpact Factorを表示するというものがあった

その名もPubmed Impact Factor
https://chrome.google.com/webstore/detail/pubmed-impact-factor/npblmhpjbopmmaadpmheopjelggjnogh?hl=ja
具体的には、
・impact factorでのSort機能
・Journal名の隣にimpact factorの表示
をしてくれる

Pubmedに標準搭載して欲しいぐらい良い機能である

2020年7月24日金曜日

SAH gradeⅤの予後

Long-term Functional Outcomes for World Federation of Neurosurgical Societies Grade V Aneurysmal Subarachnoid Hemorrhage after Active Treatment

Neurologia medico-chirurgica Advance Publication Date: July 16, 2020
doi: 10.2176/nmc.oa.2020-0052

WFNS gradeⅤに対する治療後の予後調査。日本の単施設後方視的研究
n=44、クリップが9割。
3年後には25%がmRS0-2になるという結果

海外ではGradeⅤは手術していないことも多いようだが、実際に25%が機能的に自立している。
75%の寝たきりを作るとも読み取れ、この手術適応は大きな倫理的・医療経済的問題を抱えている。
健康で文化的な生活とは何なのか、税金による経済的負担と人間の生命予後は天秤にかけられるのか、
答えがない中で、現場では”うまいこと”やっていく他ないのだろう
良きも悪きも背負っていくのが医師という職業なのか
なんとも難儀な仕事である

2020年7月23日木曜日

脳動脈瘤クリップ

脳動脈瘤のクリップをあまり考えたことがなかったので、ヤサーギルの脳動脈瘤クリップのパンフレットをみてみた


材質はチタンとフィノックスがある
フィノックスはやや閉鎖力が強いようだ


種類はパーマネントとテンポラリーに大きくわかれ、
テンポラリーはあくまで一時的な使用のため閉鎖力が低めに設定されている

形状としては
ストレート、曲がり、クランク、L型、T型、ジャイアント、ミニなどがあり
それぞれ有窓の形もある



クリップの選択には諸説あるが、
動脈瘤の形状と方向、ラチェットの入る角度、術者の好みなどで大きくわかれる
正解は自分で見つける他ないのだろう


2020年7月22日水曜日

癌性髄膜腫のレビュー

Leptomeningeal Metastasis From Systemic Cancer: Review and Update on Management 

Cancer January 1, 2018
DOI: 10.1002/cncr.30911

癌性髄膜腫のレビュー
・固形癌の5-8%に発生する
・症状は非特異的で、出る頃には末期で平均予後は2-4ヶ月
・全脳・全脊椎の造影MRIと、髄液細胞診を施行する必要がある
・治療は原疾患に基づいた集学的治療+緩和がほとんど
・他様々なtrialが進行中

脳外科で診断することはあっても治療は他科でおこなうことになることが多い

2020年7月21日火曜日

コロナ時代 2020年の抱負

コロナですっかり世の中が変わってしまいました。

交流促進によるイノベーションの社会からsocial distanceとオンライン上の社会へ
救急外来は隔離対応が標準となり、手術適応や手術方法にも少なからず影響を受けています
副次的にweb化が進み、あれだけ議論になっていたオンライン診療があっという間に標準装備となり、学会やセミナーもオンラインで見れるようになったのはよい面でしょうか

まだまだ長期化が予想されるコロナ対応ですが過去のパンデミックを見ると、
長期化による集団ストレスが溜まってくる時期のようです。
うまいことやっていく他ないのでしょう。

さて、2020年も上半期が終わりました。
今年の抱負を改めたいと思います。


上半期を振り返ると、
2月にロサンゼルスで開催されたInternational Stroke Conferenceに参加できたのは、念願ということもありよかったです。
一方で、それまで目標にしていたものが達成されてしまい(しかも、思ったほどでもなかったこともあり)、目標を失ってしまっていました。
その後はコロナ騒動でバタバタしていましたが、慣れてきたこともあり少し落ち着いてきました。

今年の抱負としては
①論文のTwitter Rankingの発展
 "質の高い論文を早く手に入れる"というコンセプトで始めたもの
 もう少しわかりやすくして広報と別分野へも展開していきたいです
 そして日々をワクワクして過ごしていきたいです

②Evidence Based Medicineの実践とBlogの更新
 NeurosurgeryはEvidenceが少ないですが、それでも疑問に思ったことは文献を調べて
 可能な範囲でBlogにまとめていこうと思います

③体調管理
 コロナ時代ということもあり体調が職場でも気にされる時代になってしまいました
 日々睡眠・運動・食事を適切に行って体調を保っていこうと思います

2020年7月20日月曜日

ICH後の抗血栓薬は7-8週間あけた方がいい

Optimal Timing of Anticoagulant Treatment After Intracerebral Hemorrhage in Patients With Atrial Fibrillation

Stroke. 2017;48:00-00.
DOI: 10.1161/STROKEAHA.116.014643.

スウェーデンで行われた心房細動を伴う2619人のICH患者を対象とした後方視的研究
結果、ICHの7~8週間後に治療を開始したときに利益が最大になるようだ
Aが女性、Bが男性
黒が抗凝固薬、灰色が抗血小板薬、点線が無治療
太線は無治療と比較して5%以上差がある期間

図がわかりにくいが、一つ一つみていくと
・まず、少なくとも4週間は休薬している様子
・男性と女性でグラフにそう違いはない
・Afに対する高血栓薬なので、一般的には黒線を参考にする
・低リスク群も高リスク群も8週間のと所に注目。塞栓症は低いし、出血性も無治療と同等ぐらいまでdipしている。Vasc. death or strokeでもdipがあるように見える

実際にはグラフというより数値で計算されているだろうけれども、一応は7-8週間後の投与が望ましいようだ。
もちろん出血の程度で大きく変わってくるが、悩んだ時にこの論文を根拠にしても根拠の一つにはなりそうだ

2020年7月19日日曜日

低ASPECTS (≦6)でも血栓回収で良くなる可能性がある

Mechanical thrombectomy in patients with acute ischemic stroke and ASPECTS ≤6: a meta-analysis

J NeuroIntervent Surg 2019;0:1–7.
doi:10.1136/neurintsurg-2019-015237

低ASPECTSに対する血栓回収のmeta-analysis
・17の研究、ASPECTS 0~6の1378人の患者(1194 人のMT、184人の保存加療)を対象
・MTおよび医療管理後のmRS 0–2の割合は、それぞれ30.1%および3.2%。
・ASPETS 6と5はmRS0-2が37.7%と33.3%
・ASPECTS 4は約25%、ASPECTS 0~3は14%のみ

ASPECTS0-3で14%もmRS0-2というのが驚き
・右側かつ若年なのだろうか
・CT lowが出てもFLAIRでhighになっていない状況なのだろうか
・もともと側副血行路が発達しているATIBI typeなのだろうか
・過去の脳梗塞巣も含めたASPETSなのだろうか

低ASPECTSの中でも予後改善が期待できる症例がいるはずである
因子が気になるところ

2020年7月18日土曜日

検査アンギオの持続還流は脳梗塞を予防するか

The Influence of Flush Methods on Transfemoral Catheter Cerebral Angiography: Continuous Flush versus Intermittent Flush

J Vasc Interv Radiol 2016
http://dx.doi.org/10.1016/j.jvir.2015.12.017

こんなのにもRCTがあるなんて
n=50の持続還流vs 還流なしのRCT
結果としては手技時間が短縮、必要な造影剤の量の減少があったとのこと
DWI高信号は差なし

吸引回数が減るので手技時間が短縮するのはわかるが、当然準備時間は増えるだろうし、造影剤量が減ったというのも理由がわからない。
DWIの高信号に差はないので、還流しないと極端に脳梗塞が増えるということはなさそう。
準備の簡便さからも検査の場合は還流しない所が多いのではないか。
詳細な検査が必要な場合は還流しておいた方が安心かもしれない。

2020年7月17日金曜日

M1閉塞の場合はinferior branchに入れたほうがいい

Stent retriever placement in embolectomy: the choice of the post-bifurcational trunk influences the first pass reperfusion result in M1 occlusions

J NeuroIntervent Surg 2018;0:1–5. 
doi:10.1136/neurintsurg-2018-014114

M1閉塞の際にinferior branchに入れたほうが再開通率が高いという単施設後方視的研究
inferior branchの径はsuperior branchよりも大きかった(1.4 mm対1.18 mm)





太い血管の方が、ステントによる捕捉力が強いため再開通率が高いのだろうか?
近年、first pass effectも謳われるようになり、こうした小さいテクニックの積み重ねが重要かもしれない
但し、見えない血管を通していくので、inferior branchを選択して通すというのは現実的に難しいのではないかと思ってしまうが、機会があったら試してみたい所である

2020年7月16日木曜日

広範囲MCA梗塞に対する減圧開頭のタイミング

Outcome After Decompressive Craniectomy for Middle Cerebral Artery Infarction: Timing of the Intervention

Neurosurgery 0:1–8, 2020
DOI:10.1093/neuros/nyz522

過去のRCTで①60歳以下かつ②発症48時間以内の開頭が予後に影響するという研究結果がでていたが、nが少なく信頼性が低かったとのこと
今回単施設コホートに加えてシステマティックレビューを行った

単施設コホートでも有意差はなく、
システマティックレビューでも差はなかったとのこと



広範囲梗塞に対する減圧は転帰改善というよりかは救命の意味合いの方が強い
特に優位半球の梗塞では救命できても寝たきりだし、それはつまり予後が極めて悪いということだ
48時間以内、以後に関わらず家族の希望があれば減圧をすべきなのだろう
但し、予後改善ではなく、あくまで救命目的であって
それがどの程度本人の利益になるかはよくよく議論が必要だ

2020年7月15日水曜日

Acom動脈瘤の方角とクリップのしやすさ

Anatomical triangles de ning routes to anterior communicating artery aneurysms: the junctional and precommunicating triangles and the role of dome projection

J Neurosurg 132:1517–1528, 2020

Acom動脈瘤のクリッピングで前方および下方に突出している動脈瘤はクリップしやすいという内容
当たり前といえば当たり前だが、動脈瘤の向きとそれぞれの要素を%で表しているのが役立つ
Clip / Coilの議論は尽きないわけだけれども、若手には一つの判断基準として勉強になるpaperだった
動脈瘤の方角とクリップのしやすさ

2020年7月14日火曜日

頭蓋形成時の素材一覧

感染などで自家骨が使えない状況のときに、どんな種類の素材があるか調べてみた
手ごねのレジンを使用している施設もあるが、美容的には3Dモデルのほうが優れている
感染率や価格などはどの素材も一律のようだ
他にもセラミックなどもある

業者の話ではポリエチレンのタイプのシェアが伸びているとのこと
割れず、軽く、CT/MRIでハレーションもおきないとのこと
現状どれが優れている、ということはなさそう

HOYA カタログより

2020年7月13日月曜日

主幹動脈閉塞疑いの患者は直接アンギオ室に運んだほうがいいか

Direct transfer to angiosuite to reduce door-to-puncture time in thrombectomy for acute stroke

J Neurointerv Surg (IF: 3.925). 2018 Mar;10(3):221-224. 
doi: 10.1136/neurintsurg-2017-013038.

主幹動脈閉塞疑いの患者を直接アンギオ室に運んだ後方視的研究
D2Pは、DTCT(直接CT室)(60±29分)よりもDTAS(直接アンギオ室)(17±8分)で短かった。 
長期予後の比較はされていない様子

こうした研究を受けて、現在RCTが進行中

Effect of DIRECT Transfer to ANGIOsuite on Functional Outcome in Severe Acute Stroke (DIRECTANGIO)




XperCTが通常のCT並みに綺麗だし、長期予後もよくなれば今後直接アンギオ室への流れがスタンダードになっていくだろう。

2020年7月12日日曜日

頭蓋形成の最適なタイミング

Timing of cranioplasty: a 10.75-year single-center analysis of 754 patients

J Neurosurg August 11, 2017
DOI: 10.3171/2016.11.JNS161917.

頭蓋形成術の最適なタイミングを模索した10年間にわたる単施設コホート

結果としては、
・頭蓋切除後14日未満に行われた場合、感染率は著しく高かった
・水頭症は頭蓋形成までの時間と有意に相関する(時間がたつと減る)
・てんかん発作は90日を超えて頭蓋形成術を受けた患者でのみ発生した

結論は15〜30日に行うのがよさそうとのこと
あまり時間を置くと癒着が強く手術が大変なので、できれば2週間すぎた頃には行いたいところ

2020年7月11日土曜日

内視鏡血腫除去の長期成績

Long-term functional outcome following minimally invasive endoscopic intracerebral
hemorrhage evacuation

J NeuroIntervent Surg 2020;0:1–6. doi:10.1136/neurintsurg-2019-015528

内視鏡血腫除去の長期成績
上2段がMISTIE trialの結果で差がなかった
今回内視鏡血腫除去に特化して自施設で比較してみると50% vs. 46%であった


これって差がないんじゃ・・・・
安全性はあると言っているが、少なくとも予後改善のための手術になりそうにないのは確かだ
早く覚醒を良くしてリハビリ促進のための手術、とこれまで言われてきたが、
果たして本当に手術をした方がよいのだろうか?
覚醒度改善による気切の回避はできそうだし、医療経済的に意味があるのだろうか?
もしくは、減圧の適応となりうる患者で、超高齢者に対して低侵襲で行うためのツールなのであろうか。
世界中でエビデンスを出そうとして出ない感が拭えない
一体何のための手術なのか

2020年7月10日金曜日

血管内治療のsnuff box approach

Distal radial access in the anatomical snuffbox for neurointerventions: a feasibility, safety, and proof-of- concept study

J NeuroIntervent Surg 2020;0:1–4. doi:10.1136/neurintsurg-2019-015604

snuffboxからの穿刺
循環器領域ではすでに広まっており、追いかけるようにして脳血管内治療にも導入された
6Frシースが入るとのことで、大抵の血管内治療をされている
 
なぜ鼠径ではなくsnuffboxからかというと、
“evidence of decreased morbidity and mortality, faster patient recovery time, higher patient satisfaction post-procedure, and even reduced cost. “
ということで合併症が少ないとのこと
とはいえ、血管閉塞は一定の割合で起きているが、鼠径部の感染性動脈瘤などを経験してしまうとradialに移りたくなる気持ちもある

2020年7月9日木曜日

静脈洞血栓症に対する血管内治療の効果

Effect of Endovascular Treatment With Medical Management vs Standard Care on Severe Cerebral Venous Thrombosis The TO-ACT Randomized Clinical Trial

JAMA Neurol. doi:10.1001/jamaneurol.2020.1022

静脈洞血栓症に対する血管内治療は効果が無いという研究
TO-ACT trialは随分前に研究結果が国際学会で発表されていたが、ようやく論文になったようだ

但し、大きなlimitationがたくさんある
・n=67と小さい
 そもそも重症な静脈洞血栓症の頻度があまりにも少ない
 有意差が出るわけがない
・重症静脈洞血栓症が対象
 そもそも重症なので転帰改善の余地が少ない
・介入法がばらばら
 血栓溶解も血栓回収も血栓破砕もなんでもあり
 Interventionとして適切ではない

論理的にはヘパリンでも増悪傾向があれば、熟練した術者であれば無理ない範囲で行っても悪くはないのではないかと考えられる
なぜなら、少しでも静脈洞が開通すれば増悪を免れる可能性があるし、普段血栓回収で使っているデバイスであれば、合併症をきたす可能性は低いと考えるからだ
但し、この論文で積極的にやりにくくなったのは事実だろう
家族・本人への十分な説明と同意のもと、熟練した医師のみに許されるのではないかと考える

2020年7月8日水曜日

SAH後の脳室管理 -断続的/急速EVDプロトコル-

Intermittent CSF drainage and rapid EVD weaning approach after subarachnoid hemorrhage: association with fewer VP shunts and shorter length of stay

J Neurosurg 132:1583–1588, 2020

米国で流行っているというSAH後の脳室管理 -断続的/急速EVDプロトコル- をするとVPシャントが減るという研究

# 断続的/急速EVDプロトコルとは
基本ドレーンはクランプしておき、脳圧が高いとき(>20cmH2O)、水頭症の所見があるときは10cmH2Oで管理する方法
Hunt and Hessが1-2のとき、48時間でウィーニング
Hunt and Hessが3-5のとき、5日でウィーニング
ウィーニングはそのままクランプして(画像確認後)すぐ抜くようだ


明らかにシャントは減っている
脳圧が高いとspasmが起きそうな気もするが、頻度も変わらず
SAH後の管理についてはまだまだわかっていないことが多い
血腫は洗い流した方がいいとか、脳圧は下げたほうがいいとか、色々言われているにもかかわらず
それらしいエビデンスはない
脳ドレは必要がないのであれば抜去すべきだし、案外必要なのは超急性期だけなのかもしれない

2020年7月7日火曜日

低ASPETSに対する血栓回収の長期予後

Endovascular thrombectomy can be bene cial to acute ischemic stroke patients with large infarcts

J Neurosurg 130:1383–1390, 2019

ASPECTS < 6 の症例への血栓回収の効果
17%もmRS0-2になっている
言い換えれば、寝たきりの人を8%も作っている
この解釈はかなり分かれるところ
年齢(アクセスの難しさ)、発症前ADL、既往症、家族の希望など複合的に考える必要がある
低ASPECTに対する血栓回収の長期予後



2020年7月6日月曜日

ヘッドマウントディスプレーでのナビゲーション下脳室ドレナージ


A wearable mixed-reality holographic computer for guiding external ventricular drain insertion at the bedside

J Neurosurg 131:1599–1606, 2019

ヘッドマウント式の複合現実ホログラフィックコンピューターを使用して、ホログラム支援のベッドサイドEVD挿入を正常に行うという研究
要はMixed Realityのナビゲーションということだ



「脳室ドレナージなんてナビいらんやろ」
と思ってしまうが、合併症が少なければ少ないほどいいのは間違いない
とはいえ、現在のステルスナビゲーションの準備時間を考えると
極めて簡便にならない限りは実際には使われないだろう。


2020年7月5日日曜日

脳卒中ガイドライン 追補2017年 くも膜下出血の攣縮管理のエビデンス

今更ではあるが、2017年追補版でいくつか攣縮管理のエビデンスが追加されていた

エリルとオザグレルが同等の水準として記載されているのが気になる。
エリルの有用性はレベル1での報告であるが、オザグレルはあくまでレベル2である
日本初で研究数も少なく費用もかかる。オザグレルが真に有用かはまだ議論の余地があるだろう。

また、スタチンに関しても追加で記載されていた
現在のところエビデンスは確立していないが、①安価で②副作用も少ない点で
使用する域値は低いだろう

攣縮はそもそもの機序が詳細にわかっていないため、
現在のところ集学的治療でなんとかやっていく他ないだろう

それぞれの施設基準に基づいた治療がベストとしか言わざるを得ない。

2020年7月4日土曜日

心房細動な日々 心房細動系エビデンスブログ

一部で有名な土橋内科医院の小田倉先生のブログ
2005年からブログを始められ、現在では極めて詳細に論文の解説をしてくださっています
心房細動は頻繁にみる疾患のため、情報のスクリーニングに有用です
小田倉先生の本も読んでみようと思います


2020年7月3日金曜日

WLNC 世界脳血管内治療ライブセミナー

BSNETの世界版
World Live Neurovascular Conference
開催は10/23, 24です
https://www.wlnc.org/en/default.asp
参加費は以下の通り、それなりの金額です
参加費

まだプログラムが公開されていないので、プログラムも確認したいところです。
2018年にはKobeで開催されています。
引き続き注目が必要です。

2020年7月2日木曜日

JET7の有害事象報告

BSNETで話題になっていたJET7の有害事象報告
吸引カテーテルから造影剤を打った際に破裂し血管損傷を起こしたという内容
他吸引カテーテルでは同様の報告はまだありませんが、
・そもそも吸引カテーテル内へのstent引き込みは表上想定されていない使用方法であること
・血栓回収の際に他吸引カテーテルからの造影剤使用は控えること
など注意が必要です。

http://www.medicos-hirata.co.jp/news/42/20200622%E3%80%80Penumbra%E3%82%A2%E3%82%B9%E3%83%94%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3%E3%82%B7%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%A0%20JET7%20XTRA%20FLEX%E3%80%80%E4%BD%BF%E7%94%A8%E3%81%AB%E9%9A%9B%E3%81%97%E3%81%A6%E3%81%AE%E3%81%94%E6%B3%A8%E6%84%8F.pdf

実際に吸引カテーテルから造影剤を"打たなければならない状況"はそうないので、
実臨床でそう困ることはないでしょうか?

2020年7月1日水曜日

Alice Tokyo Web開催決定

脳血管障害ビデオライブセミナーであるAliceTokyo
今年はWeb開催が決定しました!
10/4(日)開催です
https://www.hybridneurosurgery.info/
https://www.hybridneurosurgery.info/


医科歯科が主幹となって行っているTSNETはまだweb開催かは決まっていません。
今年はweb開催のおかげで様々なセミナーをみれます。